ニコニコ動画の実況で火がついたらしいホラーゲーム、Ib (イヴ)を Mac でプレイする試みです。
まあ過去記事の焼き直しなんですけど、改めて Wine.app の使い方を解説してみたり。
Ib の動作については、私の環境ではラストまで問題なくプレイできました。
WineBottler のポイントは、
・フリーウェアです
・実際には WineBottler は使いません。同梱されている Wine.app を使います。
・Windows アプリは X11.app または XQuartz で表示されます。OS X 10.5〜10.7 では X11.app が標準インストールされています。
ちなみに、うちの環境はこんな感じです:
Ib のバージョン = 1.05
WineBottler のバージョン = 1.6-rc5
Mac = iMac early 2008
グラフィックス - ATI Radeon HD 2600 Pro
OS X 10.8.5
注意点:
Wine.app は Intel Mac でないと動作しません。また、グラフィックスが非力な Mac だと(グラフィックが Intel GMAの Mac とか)、スムーズにプレイできないかもしれません。
大まかな流れとしては、
1. Wine.app と WineBottler のインストール
2. XQuartz のインストール(オプション)
3. 新しい Prefix を作る
4. 日本語フォントのインストール
5. RPGツクール2000 RTP のインストール
6. Ib のインストール
7. Ib が起動しない場合
となります。
0. 最初に・拡張子 exe のファイルは、Wine.app で開きます。
・ここに書いた方法は、私の環境での例です。違う環境の Mac でもうまくいくとは限りませんのでご注意を。
1. Wine.app のインストールWineBottler | Run Windows-based Programs on a Macから、WineBottlerをダウンロードしましょう。
Ib 1.05に対して
OS X 10.7 〜 10.8 の場合 = WineBottler 1.6-rc5 を推奨。これでIbが動かないときは 1.4.1.6 を試す
OS X 10.6 以前の場合 = WineBottler 1.2.5 を推奨となります。
ダウンロードリンクをクリックするとウインドウいっぱいの広告が表示されるので、それをしばらく眺めたあとに右上の「Skip AD」をクリックするとダウンロードページに進みます。
無事にダウンロードできたら、Wine.app を適当なフォルダ(アプリケーションフォルダなど)にコピーします。
次に、Wine.app を起動します。
初回の起動はかなり長いので気長に待ちます。
この Wine.app は常駐型のアプリケーションで、メニューバーのアイコンから操作します。
2. XQuartz のインストール(オプション)・Wine.app が 1.4 以降の場合
・OS X 10.8 の場合
上記のいずれかの場合では、XQuartz 最新版をインストールする必要があります。
XQuartzから XQuartz 2.7.4 をダウンロードして、インストールします。
3. 新しい Prefix を作るPrefix とは、Windows 仮想環境を保管するフォルダのことです。
Windows アプリのインストールは、この Prefix に対して行います。
まず、Wine.app を起動します。
「Prefix」という名前の Prefix (ややこしい…)が既に存在しているかもしれません。
これにいろいろインストールしても良いですが、環境を作り直すときなどに面倒なので、新しい Prefix を作ります。
Wine メニューの「Change Prefix…」を選ぶと Change Prefix ウインドウが前面になるので、「Add…」を選びます。

Prefix の名前と保存場所を指定します。
Prefix の名前は、英字のみ、空白を含まない方がトラブルを防げます。この例では「TOHO」という名前にしています。
保存場所はパスに日本語を含んでいない場所ならどこでも良いです。
この例ではホームの書類フォルダを指定しています。
※ ホームに最初から用意されている「書類」「デスクトップ」といったフォルダは、実は内部的に「Documents」「Movies」のような英語名になっているので大丈夫です
作成が完了すると、Change Prefix ウインドウに作成した Prefix が表示されます。


※ CrossOver Mac や MikuInstaller を使っていると、それら用の Prefix(ボトル)も表示されます。
間違って消してしまわないように注意しましょう。
また、最初からあった「Prefix」も、できれば消さないようにしてください。作られた「TOHO」をクリックするとダイアログが出るので、OK をクリックすると、TOHO がデフォルトの Prefix に設定されます。
4. 日本語フォントのインストール日本語フォントをインストールしないと、インストーラが文字化けしたり、ゲーム中の文字がかなり読みにくくなったりするので、日本語フォントをインストールします。
まず、
IPAモナーフォントから opfc-ModuleHP-1.1.1_withIPAMonaFonts-1.0.8.tar.gz をダウンロードします。この中の fonts フォルダにIPAモナーフォントが入っています。
ここからの作業は、Wine.app を終了してから行います。メニューから「Quit Wine」を選んで、いったん Wine.app を終了しましょう。
次に、
2. で作成した Prefix を Finder で探します。
今回の例では「TOHO」という名前の Prefix を書類フォルダに作りましたので、書類フォルダを開くとそこにあるはずです。
見つけたら、その中にある drive_c/windows/Fonts フォルダを開き、IPA モナーフォントの5つのファイル
・ipag-mona.ttf
・ipagp-mona.ttf
・ipagui-mona.ttf
・ipam-mona.ttf
・ipamp-mona.ttf
これらを、Fonts フォルダにコピーします。

次に、作成した Prefix 内の「user.reg」をテキストエディットで開きます。
今回の例では「TOHO」という名前の Prefix を書類フォルダに作りましたので、TOHO フォルダを開くとそこにあるはずです。
開いたら、そのいちばん最後に、以下の文字列をコピーしてください。
[Software\\Wine\\Fonts\\Replacements]
"MS Gothic"="IPA \x30e2\x30ca\x30fc \x30b4\x30b7\x30c3\x30af"
"MS Mincho"="IPA \x30e2\x30ca\x30fc \x660e\x671d"
"MS PGothic"="IPA \x30e2\x30ca\x30fc P\x30b4\x30b7\x30c3\x30af"
"MS PMincho"="IPA \x30e2\x30ca\x30fc P\x660e\x671d"
"MS UI Gothic"="IPA \x30e2\x30ca\x30fc UI\x30b4\x30b7\x30c3\x30af"
"\xff2d\xff33 \x30b4\x30b7\x30c3\x30af"="IPA \x30e2\x30ca\x30fc \x30b4\x30b7\x30c3\x30af"
"\xff2d\xff33 \x660e\x671d"="IPA \x30e2\x30ca\x30fc \x660e\x671d"
"\xff2d\xff33 \xff30\x30b4\x30b7\x30c3\x30af"="IPA \x30e2\x30ca\x30fc P\x30b4\x30b7\x30c3\x30af"
"\xff2d\xff33 \xff30\x660e\x671d"="IPA \x30e2\x30ca\x30fc P\x660e\x671d"

ブログの幅が狭いので変な箇所に改行が入っていますが、実際には、 "~" = "~" という形式の途中に改行は入りません。
コピーが成功すると、下のスクリーンショットのようになります。参考にしてください。
テキストエディットの設定によっては、user.reg を保存するとコピーした文字列の\記号が¥記号に変わったり、消えてしまうことがあります。RPGツクール2000 RTP インストーラを起動したときに「日本語フォントをインストールしたはずなのに、字が小さくて読みにくい…」「文字化けして字がまったく読めない…」と思ったら、user.reg を開いて、文字列が正しくコピーされているかどうか確認してください。
5. RPGツクール2000 RTP のインストールIbをプレイするには、RPGツクール2000 RTP のインストールが必要です。
まず、
RPGツクール2000 RTP / ファミ通.com無料ゲームから、自己解凍形式 2000rtp.exe をダウンロードします。
※ 最新のものは zip 形式に変更されています。こちらの場合、ダウンロードした 2000rtp.zip をダブルクリックで展開して、中にある RPG2000RTP.exe を Wine.app で開いてインストールします。ダウンロードしたファイルが自己解凍形式 2000rtp.exe の場合は、解凍先をあらかじめ作っておきます。今回の例では、2000rtp.exe と同じ場所に「rtp」フォルダを作っておきます。
※ 解凍先フォルダ名に日本語を使わないようにします。日本語の名前がついたフォルダの中もNGです。
(ホームに最初からある「デスクトップ」「書類」などのフォルダは例外です)
これを守っていないと、2000rtp.exe のインストールに失敗する場合があります。
次に Wine.app を起動し、ダウンロードした 2000rtp.exe を開きます。
(CrossOver や MikuInstaller を使っている場合は、コンテキストメニューの「このアプリケーションで開く…」から Wine.app を指定しましょう)
Prefix を選択するダイアログが出る場合は、「TOHO」が選択されているのを確認してから Go をクリックします。
※ このダイアログは、Wine.app で何かファイルを開くたびに表示されます。
※ 左下の「Don't show this dialog again」をONにすると、次からはダイアログ表示が省略されます。

解凍先を指示するダイアログが出たら「参照…」をクリックして、先ほど作った rtp フォルダを指定してから「OK」をクリックします。
※ ここで文字化けしている場合は、日本語フォントのインストールに失敗しています。
5. に戻って、フォントをちゃんと Fonts フォルダにコピーしているか、user.reg に書き込んだ文字列が間違っていないか、などを確認してみましょう。


そして解凍されたファイル群の中から「RPG2000RTP.exe」を開き、画面の指示に従ってインストールします。
ダウンロードファイルが zip 形式の場合も同じく、それを展開して中にある「RPG2000RTP.exe」を開きます。
途中でインストール先を参照するところがありますが、特に変更せずそのまま「次へ」をクリックでOKです。

6. Ib のインストールIbの詳細情報 : Vector ソフトを探す!から Ib_1.04.zip をダウンロードして、好きな場所に解凍します。
次に、「「うごくえほん」が読み込めない方へ」内にある「パッチ適用方法」を読んで、そこの指示通りにします。
これで準備完了、Ib.exe を Wine.app で開きましょう。
X11.app の設定によっては、フルスクリーンモードへの移行を許可するためのダイアログが表示されます。

とりあえず「許可」にすると、Ib が起動するはずです。キーボードで操作します。
7. Ib が起動しない場合以上の手順を終えても
・OLEエラーが出て画面が表示されない
・音が全く出ない
などで Ib が正しく起動しない場合、以下の手順を順番に試してみてください。
1. Wine メニューから「Configuration...」を選び、画面タブで「仮想デスクトップをエミュレートする」をONにします。デスクトップの大きさは 800 x 600 のままでよいです。
2. Wine.app のメニューから「Winetricks」を選ぶと、Winetricks ウインドウが開きます。
項目の中から「l3codecx」と「ddr=gdi」にチェックを入れて、「Apply」をクリックしてインストールします。
※ 補足
・フルスクリーンだとかなり処理落ちします。ウインドウモードでのプレイがおすすめ。
・command + option + A で、フルスクリーンモードから強制的に抜けられます。
・fn + F4 でウインドウモードとフルスクリーンモードとを切り替えられます。
・fn + F12 で強制的にタイトル画面に戻ります。
・話す、調べる、決定は、スペースキーでも可能です。

美術館でのホラーストーリーを楽しみましょう。