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感想 - ウイリアム・ギブスン「パターン・レコグニション」

※ 以下、「パターン・レコグニション」のネタバレを含みます。



ウイリアム・ギブスンもすでに60越え。
「パターン・レコグニション」で描かれている世界は、我々にとって「過ぎ去った時代」でしかない。
この本が書かれてから7年近くがたった今、この物語における「携帯やネットで演出されたスピード感」は当たり前のものになった。
読んだ後に残るのは、ご都合主義や、主人公に与えられるおとぎ話レベルの特権が醸し出す、その陳腐さだけ。

グランドセフトオート3が話題になったとき、「米国人はマフィアやヤクザといったものをおとぎ話として捉えている」という意見をどこかで見た。
フッテージ - 観るものを魅了してやまない、謎めいた映像の断片。出所不明。
このフッテージの存在理由や出所を設定するにあたって、作者はマフィアというジョーカー(気取った言い方をすれば、デウスエクスマキナ)に頼った。設定は魅力的だが原因は平凡。
マフィアによる情報統制。マフィアの家族愛が生み出したフッテージ。マフィアの力により円満に解決される物語。
まったくもってタチの悪いジョーカー。

執筆時に意識されたスピード感はすでに陳腐化し、主人公は「大企業のバックアップ」という特権を持ち、フッテージという設定の始末はマフィアというジョーカーで片付ける。
9.11テロの話が絡んでくるのも興ざめする。これは単に私が「9.11で世界は変わった」的な言説に共感できないからで、米国人はまた違うのかもしれない。
というわけで、私はこの物語をあまり楽しめなかった。

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