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ゲーム感想:ロボティクスノーツ

※ ロボティクスノーツと シュタインズゲート のネタバレを含みます。注意!



















科学ADV第3弾、ロボティクスノーツ(以下「ロボノ」)の全エンドを終わらせました。
ここから、前作シュタインズゲート(以下「シュタゲ」)との比較を通して、感想を書いてみます。

・システムについて
Twitterを模した「ツイぽ」による分岐システム。
分岐の考え方は前作と同じく、ツイぽの返信を介してヒロインとの好感度を上げるとシナリオ分岐が出現する感じ…なのかな?
シュタゲのフォーントリガー方式では着信時にスキップが止まるようになってましたが、今回は止まりません。ゲーム内で時間が経過する(場面の変化、時間帯の変化)たびにスキップを止めてツイぽを確認しないといけない。
ツイぽシステムは前作よりも能動的で良いと思ったんだけど、めんどくさいと感じる人が多いようです。「場面変化時にはロードが入る、ロード中でもスキップを解除できる」ことに気付くと少し楽になるんですが。
前作と同じく分岐地点そのものはナチュラルに隠されてますが、ヒロインのうち愛里ルートとアキちゃんルートは分岐条件が特殊です。これも前作から改良された部分で、前作のようにヒロインとのメール交信を総当たりするような不毛な作業をやらずに済んでいます。


・物語(君島レポートサイド)について
君島レポートを発見してから事態が少しずつ進行します。個人的にこの物語はとても好みです。前作の時間SFよりも好きかもしれない。
少しずつ狂って行く世界と、変わらない日常。世界規模で進行する事態はツイぽやニュースで流れてくるだけ。しかし、君島レポートに深入りするにつれて身の回りで事件が起き、事件の規模はどんどん重大になっていく…
秘密結社が実際に世界を転覆させるにはどうするか? 市民を洗脳すればいい。洗脳の最初のプロセスは、判断力を奪うこと。
陰謀論のすべてを実行せずとも、社会インフラを混乱させたうえで陰謀論の一部だけを実行すれば、何が本当のことかわからなくなる。
市民は自分で考えることを止め「誰を信じたらいいか」という思考に陥る。魂の指揮官であることを自分から放棄し、陰謀論を全面的に受け入れてしまう。
…良い、良いよこれは! とても時代性のある、いい意味で前作とはまったく違う方向性、魅力的な物語です。


・シナリオ構造について
まずルート分岐から。

root_robotics_steins

上がシュタゲのルート分岐、下がロボノのルート分岐です。
前作は各ヒロインの個別エンドが「実質的には脱落バッドエンド」になってるという構造的な問題がありましたが、今作では個別エンドを「シナリオ途中の1エピソード」という形にして問題を回避しています。
その結果としてかどうか各ヒロインとの恋愛要素がかなり薄めになってますが、個人的には気になりませんでした。


・物語(主人公サイド)について
この部分にロボノの問題点が集中していると感じました。
まず、ロボノの主人公二人の行動原理から。これがロボノの根幹になっています。

robotics_principal

ロボノの物語は、ミサ姉に置いていかれた二人が、彼女に追いつく話です。
カイはミサ姉が好きだったけど、彼女は島から出て行った。だからミサ姉との接点だったゲームで追いかけようとする。
アキちゃんはミサ姉が好きだったけど、彼女は島から出て行った。だからミサ姉が残した巨大ロボ作りを通じて追いかけようとする。
この視点で見ると、二人の行動は最初から最後まで一貫しています。
世界の危機なんて大きな話のその前に、ただミサ姉に追いつきたいんだ、と。

…で、これの何がマズいかというと、
1. 行動原理の発生が、ゲームプレイの「外」にある。
2. 直近に迫る世界の危機や、ロボ部の活動。それらがゲームプレイの「内」にある
ということ。

1.について。
カイとアキちゃんの行動原理はミサ姉です。つまり二人がかつてミサ姉と過ごした時間こそが、行動原理の発生地点となっています。
ただし、ゲームプレイはミサ姉が島を去って9年後の現在から始まります。つまり、

robotics_outofeyes

のように、プレイヤーは行動原理の発生地点を体感できないわけです。回想モノローグを見て想像するしかない。
前作ではこの問題はありません。オカリンとまゆりが過ごしてきた時間を体感できなくても、まゆりが守るべき存在であることは前半のプレイを通じて体感できるし、事件の引き金は主人公自身がゲームの冒頭に引いているし、助手はゲーム中に初めて登場する(つまり主人公との過去が無い)。

それでいてさらに、 2. が問題を大きくします。
主人公二人にとっては「ミサ姉に追いつくこと」が最大目標なので、世界の危機を救うことやロボ部の活動は二次的な目標です。
だからカイは世界の危機もロボ部の活動も関係ないと言い放つし、アキちゃんは万博会場で起きた事件に対してまっさきに「お姉ちゃんに見捨てられた」と感じて崩れ落ちる。
(※ そもそもカイがアキちゃんに付き添っているのは「ミサ姉にそう言われたから」で、アキちゃんはカイがミサ姉を好きなことに薄々感づいている)
しかしゲーム内でプレイヤーが体感するのはまさにその二次目標、「世界の危機」「ロボ部の活動」。
ゲーム内で長時間かけて体験する事柄が、主人公二人にとっては実は本題ではない! だからプレイヤーは主人公たちの発言に感情移入しにくくなる。
そして前作では、この 2. の問題もありません。
まゆしぃや助手との交流がゲームプレイの「内」にあり、世界の危機がゲームプレイの「外」にあるからです。だからオカリンの「まゆりを、助手を、救いたいだけ」というスタンスに自然に共感できる。


・結論…
君島レポートやロボ作り部分のシナリオは非常に好みだが、主人公サイドの物語構造に問題がある。そのため前作より低い評価を得ることになってしまった、という印象です。
ただ、今回は既にアニメ化が決まっていて、この原作をどう料理してくるのかという希望と不安があります。
個人的には、主人公の行動原理を「ミサ姉に追いつく」「皆でロボットを作ること」の二本柱にしないと、ゲーム版と同じ轍を踏むことになると思います。
基本設定に厚みがあるので、改変はいくらでも可能でしょう。万博のTVインタビューでアキちゃんが「皆の協力のおかげで作れました」といいつつ空手先輩のモーションを紹介付きで披露してそれをロボ部初め種子島の皆が見てるようにするとか、万博会場でガンつく2とサミダレをバトルさせてその様子がTV中継されて、それを見たエスブラウンがガンつく1をサミダレに当てるという案を思いつく、とか。

最後に、このアニメ化をプロダクションI.Gがやるというのが楽しみです。
「陰謀をセッティングしたのち死んだ男」「ロボットの暴走」「ロボ好きなヒロイン」「陰謀を探るニヒルなヒーロー」「陰謀を実現する巧妙な手口」…パトレイバー劇場版1を彷彿とさせる本作のアニメ化は、プロダクションI.Gがやってしかるべき、ですよ。

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