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紅殻のパンドラについての独り言

アニメ「紅殻のパンドラ」、11話まで見ました。
正直、制作リソースはギリギリだ。でもアップルシードや攻殻から四半世紀が過ぎたいま、その世界を受け継ぐ作品をアニメ化してくれただけでもありがたい。あの極端なノリもアニメだとなぜか引っかからずに見られるし。
ところで、紅殻のパンドラには士郎作品からのテーマやタームがいろいろ登場する。ここでそれらについて独り言を述べてみたい。

・サイボーグとアンドロイドとロボット
サイボーグ:生理機能の一部を機械装置あるいは人工的な有機組織によって代行している「人間あるいは生物体」
アンドロイド:人間に限りなく近い外見を持つ「ロボット」
ロボット:フィードバックにより自己制御する「機械」
というのが伝統的な使い分け。クラリオンはサイボーグではなくアンドロイドのようだ。


・セブロ、阪華精機
セブロ:士郎正宗作品に登場する架空の銃器メーカー。少量生産高精度を旨とする。
阪華精機:攻殻機動隊に登場する架空のロボットメーカー。


・核戦争後の世界
アップルシードや攻殻とのshared worldだとすれば、20世紀末に核戦争が勃発している。
核戦争時にソ連が壊滅し米国や欧州にも甚大な被害が出ている。米国は南北に分裂し、北側が米ソ連合、南側がアメリカ帝国となっている。
クルツ大佐が言う「米帝」とはアメリカ帝国のことを指す。
中国には巨大隕石が落下して北京周辺が壊滅し、結果的に民主化している。福音(ねね)の通信授業に出てくる隕石の話はこれのことだろう。
中東には過激な宗教国「ムンマ教国」ができている。クルツ大佐のセリフ「米帝や教国の…」にて、教国とはムンマ教国のことを指す。
核戦争から数年後には第四次世界大戦が起こっていて、アジア諸国vs欧米という構図で通常兵器による泥沼の長期戦争となった。サイボーグや電脳などの技術がここで一気に進歩している。
超電磁レールガンや荷電粒子砲が核に代わる次世代の抑止兵器と目されているようだ。


・人類救済計画アポルシード
アップルシード計画とは、自滅する人類を救うための、「理性と情緒のバランスのとれた理想的なヒトを人工的に作り出し、彼らが人類を統治することで破滅を回避する」という骨子に基づく人類救済計画のこと。
日本は人類救済計画アポルシードに加担し、大日本技研「ポセイドン」という名の企業連合国家を形成している。
ポセイドンに属するクルツ大佐はアップルシード計画を歪んだ形で理解していて、彼の述べる世界平和は少しズレているのである。
物語の舞台となるセナンクル島は最先端研究を行う機関や企業が集中しているが、ここもアップルシード計画の一環として構築されたのかもしれない。


・エルピス
ギリシャ神話のパンドラの匣のエピソードで、箱の中に残っていた ”希望” のこと。

君はギリシャ神話のパンドラの匣という物語をご存じだろう。あけてはならぬ匣をあけたばかりに、病苦、悲哀、嫉妬、貪慾、猜疑、陰険、飢餓、憎悪など、あらゆる不吉の虫が這い出し、空を覆ってぶんぶん飛び廻り、それ以来、人間は永遠に不幸に悶えなければならなくなったが、しかし、その匣の隅に、けし粒ほどの小さい光る石が残っていて、その石に幽かに「希望」という字が書かれていたという話。
- 太宰治「パンドラの匣」より


人類は己の利己的行動ゆえにどうあがいても自滅する。ならば「理想的なヒト」による統治を行うしか人類を救うすべはない…というのがアポルシード計画の骨子であり、アップルシードにおいてそれは人間そのものを理想的なヒトに改造する「エルピス計画」へと進展していく。

紅殻のパンドラは世界平和を希求する物語であり、それは福音(ねね)とクラリオンの、似て異なる者同士のつながりから始まる。
世界平和というキーワード、異なる者同士の共存原理、この構図はアップルシードと同じ形になっている。

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